黄金の出汁 ― ガネ入りいもたき、絶品の理由
いよいよ、ガネが鍋に入る
先日、ガネを紹介しました。野村のいもたきに欠かせない、川のカニです。
ガネを入れると、味がランクアップする。 そう書きましたが——今日は、その実物をお見せします。
ガネは、半分に割る

まず、下ごしらえ。
ガネは、出汁が出やすいように半分に割ってから煮込みます。
丸ごとではなく、割る。こうすることで、殻の内側からも旨みが出る。ひと手間ですが、この一手間が、味を決めます。
鶏ガラと、ガネ

そして、いもたきの心臓部——出汁です。
私たちの地域では、鶏ガラとガネで出汁を取ります。
鶏ガラのコクと、ガネの旨み。この二つが合わさると、ほかでは出せない深い味になります。写真の大鍋をご覧ください。黄金色に濁った、脂の浮いたスープ。 見ただけで、濃さが伝わってきませんか。

味付けは、しょうゆ、酒、みりんなど。難しいことはしません。素材の出汁がしっかりしているから、味付けはシンプルでいいのです。
具材は、この顔ぶれ
野村のいもたきに入るのは——

里芋(主役です)
鶏肉
ニンジン
こんにゃく
厚揚げ
くずし(南予でおなじみの練り物)
そして、ガネ。
具だくさんの鍋が、ぐつぐつと煮えていきます。里芋にガネと鶏の出汁がしみこんで、こんにゃくにも味が入る。煮えるほどに、うまくなる。
そして、この一杯
よそった一杯が、こちらです。
黄金色の汁から、赤い爪が突き出ている。
里芋、鶏肉、ニンジン、くずし——そして、ガネ。汁を一口すすると、鶏のコクの奥から、カニの旨みが立ち上がってきます。
ガネ入りいもたきは、絶品です。
これは大げさではありません。ガネなしのいもたきも十分おいしいのですが、ガネが入ると一段違う世界になる。ダムができてガネが獲れなくなった今でも、野村の人がわざわざガネを求める理由が、この一杯にあります。
締めは、うどん
そして——いもたきの本当の締めくくりを、忘れてはいけません。
具を食べ終わったあと、残った汁にうどんを入れるのです。
鶏とガネの出汁を、うどんが全部吸ってくれる。もう、最高の気分です。ここまでやって、いもたきは完成だと思っています。
秋の夕暮れ、鍋を囲んで、うどんまでたどり着く。野村はよく飲むまちですから、当然そこにはお酒もある。気づけば、日が暮れています。
秋の野村へ
いもたきは、野村の秋そのものです。
もしこの季節に野村へお越しになる機会があれば、ぜひガネ入りのいもたきを味わってみてください。この味は、ここでしか出会えません。
ZEROSPHERE / ゼロの番人