「土は生きている」― 乙亥に向けた、地道な準備
10月3日、乙亥の準備が始まった
第175回乙亥大相撲は、11月24日・25日。本番まで、あと50日あまりです。
そして今日、乙亥に向けた準備が行われました。
竹伐りと、土俵修復です。
まずは、竹伐り
乙亥を支える竹取については以前も書きましたが、今年も同じように始まりました。

山から竹を伐り出して、乙亥会館に運びます。

そして——川で洗って、節を削る。

写真をご覧ください。保健センター裏の駐車場で、馬(作業台)に長い竹を渡し、一本ずつ削っていきます。発電機を回し、何人もが手を動かしている。青空の下、竹の青が光っています。
この竹が、何になるか。
幟旗と、梵天です。

町中に林立するあの幟——縦5m20cmの巨大な布は、この竹があってこそ立ちます。そして梵天は、地区の奉納相撲では、勝ち抜いた力士に渡される賞品でした。
山の竹が、祭りの道具になる。 その最初の一歩が、今日でした。
そして、土俵修復
もうひとつが、土俵修復です。
本番に使う土俵を点検して、土が削れているところに土を入れて、叩く。

写真をご覧ください。裸足で土俵に上がり、水をまき、土を足し、ブラシや箒で丁寧に整えていく。しゃがみ込んで、手で土を押さえる人もいます。
俵がぐるりと円を描き、その内側を何人もが這うようにして直している。これが、本番の土俵になります。
「土は、生きている」
作業をされていたベテランの方が、こんなことを話してくださいました。
「土は生きている。丁寧な作業が必要」
土は生きている。

ただの地面ではないのです。乾けば割れ、湿りすぎればぬかるむ。踏み固め方ひとつで、力士の足のかかり方が変わる。毎年、同じようでいて、同じではない。
だから、点検して、足して、叩く。 機械では代われない作業です。
「土俵ばかり作ってました」と話してくださった方のことを以前書きましたが、その言葉がまた重なります。野村の相撲は、土俵をつくる人がいて成り立っている。
地道な準備が、175年を支えている
竹を伐って、川で洗って、節を削る。
土俵を点検して、土を入れて、叩く。
どちらも、本番の二日間には誰の目にも映らない作業です。
テレビに映るのは大相撲の取組でしょうし、お客さんが見るのは幟の立ち並ぶ町並みでしょう。その裏に、今日のような一日がある。
嘉永5年(1852年)から175回。戦争でも、災害でも途切れなかったこの行事を支えてきたのは、こういった地道な準備の積み重ねです。
今日集まった方々も、去年もその前も、同じように竹を伐ってきたのだと思います。そしておそらく、来年も。
175年続くというのは、こういうことなのでしょう。
本番まで、あと50日あまり。町はもう、動き始めています。
ZEROSPHERE / ゼロの番人