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相撲 / Sumo
2026.10.08 — 相撲

火を鎮めるために、相撲は始まった ― 愛宕神社 火鎮擁護祈願祭

10月8日、愛宕神社にて

10月8日、愛宕神社で「火鎮擁護祈願祭」が行われました。

第175回乙亥大相撲に向けた、大切な神事です。

写真をご覧ください。木立に囲まれた社殿の前で、神主さんが祝詞を奏上しています。その前に、一列に並んで深く頭を垂れる人々。制服姿に白手袋、制帽を手にした消防関係の方々の姿も見えます。

苔むした境内に、木漏れ日が落ちている。静かな、けれど重みのある時間でした。

なぜ、火を鎮める祈りなのか

ここで、乙亥大相撲の原点に触れておかなければなりません。

乙亥大相撲は、1852年に野村で起こった大火を鎮めるために始まりました。

江戸時代の終わり。町を焼いた大火がありました。火は、人の暮らしを一瞬で奪います。当時の建物は木と紙と藁。一度燃え広がれば、どうにもなりません。

その火を鎮め、二度と起こらぬよう祈るために——緒方惟貞が、相撲を始めたのです。

なぜ、相撲だったのか

「火を鎮めるのに、なぜ相撲なのか」と思われるかもしれません。

相撲は、もともと神事です。山の神奉納相撲薬師奉納相撲でも書きましたが、土俵に上がることは、神さまに力を奉げること。四股は、大地を踏み鎮める所作とも言われます。

そして——愛宕神社は、火防(ひぶせ)の神。全国で火除けの神として信仰されてきました。

火を鎮める神のもとで、力を奉納する。 理にかなっているのです。

100年の、約束

そして、ここがこの話のいちばん面白いところです。

当初の祈願は、「100年間、相撲を奉納する」というものでした。

100年。それだけでも、気の遠くなる約束です。始めた人は、自分がその終わりを見られないことを分かっていたはずです。それでも、100年と誓った。

そして——100年が過ぎました。

約束は、果たされたのです。そこでやめても、誰も責めなかったでしょう。

それでも、続いた

けれど——住民の熱い思いもあり、175年続いております。

約束の年数を、75年も超えている。

戦争の時代も、西日本豪雨の災害も越えて。会場を何度も移しながら、土俵をつくる人太鼓を打つ人竹を伐る人——数えきれない人の手を経て、今年175回目を迎えます。

もう「約束だから」ではありません。 この町の人が、続けたいから続いている。

本番へ

先日は、竹伐りと土俵修復が行われました。そして今日は、火鎮擁護祈願。

写真のもう一枚には、奉書に包まれ、「火鎮擁護祈願」「愛宕神社」と記されたものが写っています。朱印が押され、丁寧に包まれている。この祈りを受けて、本番が始まります。

第175回乙亥大相撲は、11月24日・25日。

175年前、誰かが火を鎮めたいと願った。その願いが、形を変えて今も町に残っている。土俵に上がる力士も、それを見る私たちも、その続きにいます。

ZEROSPHERE / ゼロの番人

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