真剣勝負の中に涙あり、笑いあり― 薬師奉納相撲
9月26日、薬師奉納相撲
先日ご案内した薬師奉納相撲が、9月26日に開催されました。
安楽寺の薬師堂に由来する、川東地区の奉納相撲です。
朝から、準備が始まる
相撲が始まるのは夕方ですが——準備は、朝からです。
各組の組長さんと役員が集合し、こんな作業をこなしました。

薬師堂の清掃
焼香
竹伐り
梵天(ぼんてん)つくり
梵天は、トロフィーのようなもので、勝ち抜いた人に渡します。
まず薬師さまにお参りし、手を合わせてから、会場の設営に入る。祈りが先にあって、そのあとに相撲がある。 これが奉納相撲です。
写真は、準備中の会場。ブルーシートの上に座布団がきれいに並べられ、パイプ椅子が整列しています。この一枚に、朝からの時間が写っています。
17時、小さな力士から
17時、開始。
まずは小学生以下の部。学年ごとに、3人抜きをしていきます。
「◯人抜き」とは、勝ち抜き方式のこと。勝てば次の相手、また勝てばその次——続けて勝ち抜いた者に賞が出る仕組みです。私が小学生のころは、5人抜きしたら賞金がもらえるので、あちこちの地区相撲をはしごしました。
小さな体の、かわいらしい相撲です。まわしを締めて、仕切って、ぶつかる。まわりの大人から声と笑いが上がります。
けれど——負けたら、悔し涙を流す子どももいました。
そりゃ、負けたら悔しいよね。
かわいらしいけれど、本人たちは真剣です。その涙こそが、相撲をやっている証拠だと思います。
学年が上がるほど、迫力が増す
そして、学年が上がるにつれて、取組の迫力が増していきます。
低学年のころは、押し合って転んで終わり。それが高学年になると、しっかり組み合い、体が音を立ててぶつかる。同じ土俵の上で、成長の段階が順番に見られる——これが地区相撲の面白さです。
中三役、そして中入り
小学生の部が終わると、中三役(なかさんやく)。前半の締めくくりです。
そのあとは中入り。
会場には、お神酒と力飯(ちからめし)がふるまわれました。
写真の一枚が、その力飯です。小さなビニール袋に入った、豆の入ったおこわのおにぎり。 土俵を背にして掲げると、なんとも味わいがあります。土俵に上がる者も、見守る者も、これで力をつける。
甚句に、酔いしれる
そして中入りには、もうひとつ。
野村相撲甚句会が、薬師相撲のための甚句を披露してくださいました。
この日のためにつくられた、この相撲のための唄。自慢ののどに、会場が酔いしれました。
乙亥大相撲にも太鼓や甚句の文化があります、こうして唄い手がいる。野村の相撲は、取組だけでできているのではないのだと、あらためて思います。
小・中・大の、五人抜き
中入り後は、いよいよ後半です。
番付 出場
小五人抜き 中学生
中五人抜き 高校生
大五人抜き 高校生・一般
三人抜きから五人抜きへ。そして小・中・大と、段が上がっていきます。
迫力ある相撲に、会場は大盛り上がりでした。
勝負は、勧進元にあずかる
最後は、末三役(すえさんやく)。
そして——結びの一番です。
ここで、行司の口上が入ります。
勝負は、勧進元にあずかり——来年の開催を約束する。
決着をつけずに、勝負を勧進元(主催者)に預ける。 そして「また来年、この土俵で」と約束する。これが、奉納相撲の締め方です。勝ち負けよりも、続けることを大事にする。粋な作法だと思います。
最後は、選手と関係者が土俵に集まり、締めの口上で閉会しました。
涙あり、笑いあり
真剣勝負の中にも、涙あり、笑いあり。
とても盛り上がった奉納相撲でした。
朝から準備に動いた組長さんと役員の皆さん、唄ってくださった甚句会の皆さん、そして土俵に上がったすべての力士に——お疲れさまでした。
また来年、この土俵で。
ZEROSPHERE / ゼロの番人