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狩猟 / Hunter
2026.06.30 — 狩猟

なぜ、有害鳥獣を捕るのか ― 数字が語る現実

前に、私が狩猟を始めた理由を書きました。仲間と育てた田んぼを、イノシシから守るため――。それは、まぎれもない本音です。

でも今回は、もう少し引いた視点から、「なぜ有害鳥獣を捕るのか」を考えてみたいと思います。手がかりは、数字です。数字は、感情よりもまっすぐに、現実を映し出してくれます。

全国で、年間188億円

まず、日本全体の話から。令和六年度、野生の鳥獣による農作物の被害は――

・被害額:およそ188億円

・被害面積:およそ4万ヘクタール

気の遠くなるような数字です。なかでも加害が大きいのが、シカ(約78.5億円)とイノシシ(約44.6億円)。さらにヒヨドリ、カラス類、サルと続きます。全国では、シカによる被害が大きな割合を占めているのです。

西予市では、イノシシが最大の敵

では、私たちの西予市はどうでしょう。同じ令和六年度の被害額を、獣ごとに見てみます。

・イノシシ:約2,036万円

・ヒヨドリ:約1,241万円

・カラス類:約252万円

・カワウ:約135万円

・ニホンザル:約43万円

・ニホンジカ:約4万円

合計で、およそ3,700万円。

全国では「シカ」が被害の中心でしたが、西予市では事情が違います。最も深刻なのはイノシシ。そして、ヒヨドリによる果樹の被害も、大きな割合を占めているのです。地域によって、敵の顔ぶれは変わるのですね。

変わりつつある、鹿の存在

ただ、その「西予はイノシシ」という構図も、少しずつ変わりはじめています。

じつはここ三年ほどで、鹿の捕獲数がかなり増えてきているのです。私が捕獲を始めたころは、鹿などまったく捕れませんでした。それが今では、確実に獲れるようになっている。山の様子が、静かに変わってきているのを、現場で肌に感じています。

西予市の、捕獲の現場

こうした被害に対して、西予市では地道な捕獲が続けられてきました。

イノシシは、平成二十二年度以降、毎年1,000頭を超える捕獲を継続しています。これは、愛媛県内でも非常に多い水準です。数字の裏には、山に入り続けてきた、たくさんの人の手があります。

捕って終わり、ではない ― 命をいただく

そして、ここがいちばん大切なところです。

捕獲した命は、「駆除して終わり」ではありません。西予市のジビエ処理施設では、令和六年度に――

・イノシシ:326頭

・ニホンジカ:123頭

を受け入れ、食肉として有効に活用しています。これは、捕獲された個体のうち、ジビエとして利用された頭数です。

畑を守るために捕った命を、無駄にせず、ありがたくいただく。そこには、ひとつの「循環」があります。

守るために、いただく

有害鳥獣を捕るのは、地域の作物と暮らしを守るため。そして、いただいた命は、食卓へとつなぐ。

「守ること」と「いただくこと」は、別々のことではありません。一本の線でつながった、ひとつの営みなのです。

私たちはこの循環の中に立っています。命を奪う重さも、その命をいただくありがたさも、どちらも引き受けながら。

数字は、現実を教えてくれます。188億円、3,700万円、1,000頭、326頭――。その一つひとつの向こうに、守られた畑があり、いただいた命があります。

ZEROSPHERE / ゼロの番人

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