いきなりの猛突進 ― 忘れられない、最初のイノシシ
狩猟免許を取り、わなを仕掛けられるようになって、しばらく経ったころ。私は、はじめての獲物と出会いました。
今日は、その"最初の一頭"の話をさせてください。うれしくて、怖くて、そして忘れられない一日の記録です。
はじめてのわなは、くくりわな
前回、箱わなとくくりわなの話を書きました。この二つは、仕掛ける場所が違います。
箱わなは単独で置けるので、入ってほしくない田畑や、その近くの山林に設置します。一方のくくりわなは、獣が通る「獣道」を見つけて、そのルート上に仕掛けます。
私のはじめてのわなは、くくりわなでした。獣道を探し、ここぞという場所を見つけて、そっと設置する。そして――わなを仕掛けたら、毎日の見回りが欠かせません。ここからが、長い"待ち"の始まりでした。
風景が、変わっていた
毎日、毎日、見回りに通いました。
そんなある日のこと。いつもの場所にたどり着いて、私は思わず足を止めました。風景が、変わっていたのです。
それまで、うっそうと生い茂っていた竹藪。それが、ぽっかりと開けている。まるで、誰かがなぎ倒したかのように。
はじめてのことで、私の頭の中は「???」でいっぱいでした。何が起きたのか、まったく分からない。
いきなり、猛突進!
わからないまま、私はそろそろと近づいていきました。
その瞬間――いきなり、イノシシが猛突進してきたのです!!
あの開けた竹藪は、わなにかかったイノシシが、必死に暴れて、なぎ倒した跡だったのです。何も知らずに近づいた私に、獣がまっすぐ突っ込んでくる。
くくりわなが、守ってくれた
正直に言います。かなり、びっくりしました。
でも――助かりました。くくりわなのおかげです。イノシシは足をくくられているので、ロープの届く範囲までしか動けない。あの猛突進も、あと一歩、私には届かなかった。事なきを得たのです。
このとき、しみじみ思いました。わなは、獣を捕らえる道具であると同時に、私自身を守ってくれる道具でもあるのだ、と。
最初の一頭は、五十キロ
はじめて捕らえたイノシシは、五十キロほどでした。
体重だけなら、私のほうが重いくらいです。それなのに――その野生の力たるや。目の前で暴れる姿は、数字以上の迫力で、正直、本当に怖かった。生きものが持つ力の、本物の凄みを、体で思い知らされました。
怖さが、自信に変わった
けれど、この一頭を捕らえた経験は、私にとって、とても大きなものになりました。
「自分にも、捕れる」。その手応えが、大きな自信につながったのです。恐怖と、達成感と。相反する二つの気持ちを抱えて、私は"捕獲する側"としての第一歩を、たしかに踏み出したのでした。
はじめての命。はじめての恐怖。そして、はじめての自信。私の狩猟は、あの竹藪の前から始まりました。
ゼロの番人として、私はこれからも、一頭いっとうの命と、まっすぐ向き合っていきます。
ZEROSPHERE / ゼロの番人