来年の春につながる、伐り方 ― 夏の採桑のコツ
初秋養蚕の7日目。
今日の給桑は——早朝に採桑して、6時、14時、22時の3回。4齢になった蚕たちの食欲は、日に日に増しています。朝・昼・夜と、蚕舎に通う日々です。
採ってきた桑は、3束。この量が、一日で消えていきます。
桑の「伐り方」に、決まりがある
今日は、採桑(さいそう)のコツについて書いておきます。
桑を採るとき、ただ枝を切ればいいわけではありません。時期によって、伐り方が変わるのです。
今の時期(夏)のポイント:
株上30cmあたりで、株側に葉っぱを残して伐る
写真をご覧ください。桑の株から伸びた枝が、地面から30cmほどのところで切られています。そして大事なのは——切り口より下(株側)に、葉を残しておくこと。
なぜ、葉を残すのか
理由は、株を弱らせないためです。
夏の暑い時期にあまり伐りすぎると、株が弱ってしまうのだそうです。葉は、植物にとって栄養をつくる工場のようなもの。全部刈り取ってしまうと、桑の木は次の芽を出す力を失ってしまいます。
「今年の蚕のために」だけ考えて刈ると、桑の木を傷める。 だから、木が生きていける分の葉を残しておく。
そして、来年の春につながる
さらに——この伐り方には、もう一つの意味があります。
この伐り方をすると、来年の春蚕期(しゅんさんき)で使える桑になるのだそうです。
株上30cmで伐ることで、そこから新しい枝が伸びる。それが冬を越し、来年の春、次の蚕たちの餌になる。つまり今日の一伐りは、来年の春への仕込みでもあるのです。
桑畑は、何年も先を見ている
以前、桑畑を変えた話を書きました。3齢の蚕には春に刈った畑の柔らかい新芽を、4齢からは手つかずの畑を——と。
そこにさらに、「今の伐り方が、来年の桑を決める」という時間軸が加わります。
今日の給桑のために伐る
株を弱らせないように葉を残す
来年の春蚕期のために形を整える
一度の作業に、三つの時間が入っている。時期によって桑の伐り方も変わるとは——奥が深いと、あらためて思います。
教わりながら、身につけていく
こうした技術は、本を読んだだけでは身につきません。まだ2年目の私たちは、こういうことを一つひとつ、教わりながら覚えていくところです。
体力仕事には自信があっても、「桑の木を何年も先まで見て伐る」という感覚は、まだこれから。ですが、こうして一つ知るたびに、養蚕という営みの深さが見えてきます。
明日も、朝5時30分。桑畑へ向かいます。
ZEROSPHERE / ゼロの番人