眠と起蚕の見極め ― 前半戦の山場、消毒と網入れ
4齢の起蚕を待つ
昨日、桑止めをして——眠に入った蚕が脱皮を終えるのを待ちました。初秋養蚕の5日目は、前半戦のちょっとした山場です。
今朝も5時30分に桑畑へ向かい、本日分の桑を採ります。この日課は、蚕がいる限り続きます。
蚕舎に着いて、蚕座をのぞくと——4齢になった蚕と、まだ眠の蚕が混在していました。同じ日に配蚕された蚕でも、成長のスピードには個体差があるのです。
まずは、石灰を振る
グループ分けの作業に入る前に、まず石灰を振りかけます。
これには、二つの目的があります。
① 消毒
カイコは病気に弱い生きものです。石灰には消毒の効果があり、蚕座を清潔に保ってくれます。
② 残った桑を乾かす
まだ少し残っている古い桑に石灰をかけると、乾燥して食べられなくなります。すると蚕は、新鮮な桑だけを求めるようになる。古い桑を食べさせないための、昔ながらの知恵です。
真っ白な石灰が、蚕座にふわりと降りていきます。
網を入れて、グループ分け
そして——今日の本番、網入れです。
蚕座の上に網をかぶせ、その上に新しい桑を置きます。すると、どうなるか。
目を覚まして食欲が戻った蚕(起蚕)だけが、桑を求めて網の上に上がってくるのです。
まだ眠っている蚕は、網の下に残ったまま。つまり——蚕が自分で、自分を仕分けしてくれるわけです。上に上がってきた蚕だけを網ごと移せば、成長段階のそろったグループができあがる。
よくできた仕組みだと思いませんか。力ずくで選り分けるのではなく、蚕の習性を利用する。先人の知恵に、毎回感心させられます。
見極めには、経験がいる
ただし——この「眠」と「起蚕」の見極めには、熟練の経験と技術が必要です。
早すぎれば、まだ眠っている蚕に無理をさせてしまう。遅すぎれば、起きた蚕を空腹のまま待たせることになる。そのタイミングを、蚕座全体の様子から読み取る。これが難しい。
私たちは、養蚕を始めて2年目です。正直、見極めには若干の不安があります。
そこで——シルク博物館の密田館長に、指導を仰いでいます。
体力は自信あり、経験はこれから
採桑や給桑の作業は、体力勝負な面が大きい。早朝から桑を採り、蚕舎を行き来する。そこは、正直、自信があります。
けれど、経験と技術が必要な部分は、まだまだ。だからこそ、教わりながら、着実に実力をつけていきたいと思っています。
長く養蚕を続けてきた人の目には、私たちに見えないものが見えている。その差を、一つひとつ埋めていく。2年目の私たちにできるのは、素直に教わることです。
前半戦の山場を越えて、蚕たちは4齢へ。ここからまた、食欲旺盛な日々が始まります。
ZEROSPHERE / ゼロの番人