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狩猟 / Hunter
2026.07.25 — 狩猟

山のカメラは、見ていた ― 定点カメラが教える獣たちの暮らし

前にくくりわなの設置で、「蒐場(ぬた場)」の話をしました。イノシシが泥浴びをする、山の中の水たまり。獣道の見極めに欠かせない場所です。

でも——その蒐場に、いつ、どんな獣が来ているのか。人がずっと張り込むわけにはいきません。そこで活躍するのが、定点カメラ(トレイルカメラ)です。今日は、この"山の目"の話をします。

山に、目を置く

定点カメラは、動物や熱に反応して自動で撮影する、小さなカメラです。蒐場や獣道、林道のわきに設置しておくと、人がいない間に通った獣を、勝手に記録してくれます。

私たちの仲間も、猿坂松、白木ヶ城、片川池、釜川林道——あちこちの蒐場や林道に、カメラを仕掛けています。数日〜数週間ごとに回収して映像を見る。すると、山の中の"秘密の暮らし"が、少しずつ見えてくるのです。

蒐場は、大にぎわい

記録された映像を見て、まず驚くのは——とにかく、いろんな獣が来ること。

もちろん本命のイノシシ。しかも一頭ではありません。群れでやってきたり、ウリ坊(幼獣)が連れ立っていたり。ある蒐場では、推定75kgの大物まで写っていました。昼間に堂々と泥を浴びる姿もあれば、真夜中、暗闇に目だけが白く光ることもあります。

そして、イノシシだけではないのです。鹿、タヌキ、アナグマ、ハクビシン、キツネ、ウサギ、リス、そして野鳥……。一つの蒐場が、これほど多くの命の"社交場"だったとは。カメラを見るまで、まったく知りませんでした。特に冬の林道では、タヌキが毎晩のように顔を出す常連ぶり。思わず笑ってしまいます。

カメラは、狩猟の"作戦本部"

ただ眺めて楽しいだけではありません。この記録が、狩猟の作戦に直結します。

  • どこに来るか … よく写る蒐場は、わなを仕掛ける有力候補
  • いつ来るか … 昼か夜か、時間帯の傾向がつかめる
  • どれくらいの大きさか … 大物か、幼獣か、群れか
  • 本当に通っているか「確実に通っている」痕跡を、映像で裏づけできる

痕跡(足跡や体こすりの跡)を読む目に、カメラという"証拠"が加わる。勘と経験に、データが重なる。これが、今の狩猟です。

「逃げ」も「弾き」も、記録される

面白いのは、うまくいかなかった瞬間まで残っていること。

ファイルには「猪 逃げ」「猪 弾き」——わなの手前で警戒して逃げたり、かかりきらずに弾かれたり。そんな記録も残っています。悔しい瞬間ですが、これも次への貴重なヒント。「なぜ逃げたのか」を映像で振り返り、仕掛けを改善していく。カメラは、失敗からも学ばせてくれる先生なのです。

山と、向き合う道具

定点カメラは、山を荒らさず、獣を脅かさず、ただ静かに見守る道具です。その記録は、獣害と向き合い、命をいただくための、大切な手がかりになります。

ZEROSPHERE / ゼロの番人

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