箱わな設置のコツ ― 平らな場所で群れを"一網打尽"に
前回は「点」で狙うくくりわなの話をしました。今回はその対になる猟法、箱わなです。同じイノシシ猟でも、狙い方も置き場所もまるで違います。
箱わなの強み ―「平らな場所ならどこでも」

箱わなの一番のメリットは、平らな場所さえあれば、どこにでも設置できることです。獣道を読み込んでピンポイントで仕掛けるくくりわなと違い、置き場所の自由度が高い。だから田んぼや畑を守るために、その近くに置くことが多くなります。作物を荒らしに来るイノシシを、被害の現場で待ち構えるわけです。
設置場所は「作業のしやすさ」で決める
置き場所を決めるとき、意外と大事なのが設置と取り込みのしやすさです。
箱わなは金属製で、とにかく重い。一人で持ち運べるようなものではありません。だから一度据えたら、捕獲するまでその場所に置きっぱなしにするのが基本です。
さらに、捕獲したあとのことも考えておく必要があります。その場で止め刺しをすることもありますが、私たちは生きたまま運び出すため、軽トラを寄せられるか、運び出しやすいか——そういう「動かしやすさ」を最優先で場所を選びます。獲れてから「ここでは運べない」となっては元も子もありません。
蹴り糸式トリガーの仕組み

設置場所が決まったら、まずわなの作動確認をしてから据え付けます。
私たちの箱わなは蹴り糸(けりいと)式トリガーを使っています。これは、イノシシが箱に入っただけでは作動しません。仕組みはこうです。
- 箱の奥にエサを用意しておく(米ぬかなどでおびき寄せる)
- そのエサの手前に、横一本の糸を張る
- イノシシがエサへ向かって進み、その糸に触れると罠が作動し、扉が落ちて閉まる
「奥まで入りきったところで初めて作動する」ように仕込むのがポイントで、これによって体半分だけ入って逃げられる失敗を防ぎます。
もう一つの強み ―「一網打尽」
箱わなのもう一つの大きな強みが、一度に複数頭を捕まえられることです。
イノシシは幼獣(ウリ坊〜若イノシシ)のうちは群れで行動することが多く、しかも警戒心が低いため、箱わなに入りやすい。写真のように、一度に群れごとまとめて入ることも珍しくありません。1頭ずつしか獲れないくくりわなにはない、箱わなならではの利点です。農作物被害を減らすうえでも、群れごと捕獲できる意味は大きいです。
大きなデメリット ―「警戒されて、入らない」
いいことばかりではありません。箱わなの最大の弱点は、警戒されやすいことです。
箱わなは、山の中に突然あらわれた大きな構造物です。イノシシは慎重な動物なので、見慣れないものにはなかなか近づきません。設置してすぐ入ることは、まずないと思っておいたほうがいいでしょう。エサだけ食べに来て、扉の内側までは入らない——そんな「探り」の期間が続きます。
だからこそ、気を長くして待つことが何より大切です。そして、かかっているかどうかを確認するためにこまめな見回りが欠かせません。生きたまま捕獲する以上、長時間放置はできません。この見回りの負担を考えると、あまり遠い場所に設置するのはおすすめしません。通いやすい距離に置くこと——これも立派な設置のコツの一つです。
まとめ
くくりわな | 箱わな | |
|---|---|---|
置き場所 | 獣道の一点 | 平らな場所ならどこでも |
得意 | 用心深い成獣も狙える | 群れを一網打尽 |
弱点 | 場所の見極めが難しい | 構造物で警戒されやすい |
箱わなは「置いて終わり」ではなく、警戒を解くまで辛抱強く待ち、まめに通う猟法です。焦らず、イノシシが安心して入ってくれるのを待ちましょう。
ZEROSPHERE / ゼロの番人