あと10日で、蚕がやってくる ― 初秋蚕期への準備
あと10日で、蚕がやってくる
あと10日で、初秋蚕期(しょしゅうさんき)が始まります。
養蚕には、春・初秋・晩秋と、いくつかの飼育の季節があります。その一つ、初秋の蚕を迎えるにあたって——今日は、蚕舎(さんしゃ)の掃除と、道具の手入れを行いました。
蚕を飼う前の、この準備。地味な作業ですが、実はとても大切なのです。以前蚕の病気(膿病)のことを書きましたが、蚕は病気に弱い生きもの。前の蚕期の汚れや病原菌が残っていると、次の蚕期が思わぬ不作になることがあります。だからこそ、蚕を迎える前の掃除は、いい繭づくりの"隠れた第一歩"なのです。
道具を出して、床を洗う
まずは、蚕舎の中の道具をいったん全部、外に運び出します。がらんと空になった蚕室。その床を、きれいに洗浄していきます。
そして、運び出した道具たち。洗えるものは、一つひとつ洗浄します。蚕が触れるもの、桑をのせるもの——蚕の暮らしにかかわる道具だからこそ、ていねいに。夏の蚕舎は暑く、扇風機を回しながらの作業です。汗をかきながら、黙々と手を動かす。派手さはないけれど、この積み重ねが、健康な蚕を育てる土台になります。
蔟の、毛羽取り
そして今日、特に手をかけたのが——蔟(まぶし)の手入れです。
以前紹介した、蚕が繭を作るための道具回転蔟。前の蚕期に使ったあとの蔟には、毛羽(けば)がたくさんついています。毛羽とは、蚕が繭を作り始めるときに、まわりに吐き散らす、綿のような糸のこと。これが蔟の格子にびっしり残っているのです。
写真の、赤いヘラを使っている手元——これが毛羽取りの作業です。格子の一マスいちマスから、へばりついた毛羽を、ていねいに削ぎ落としていく。細かくて、根気のいる仕事です。でも、この蔟をきれいにしておくことが、次に蚕がきれいな繭を作るための、大切な準備になります。
桑も、待っている
蚕舎の外に出れば、青々と茂った桑畑。初秋の蚕が、もりもり食べることになる葉っぱたちが、夏の日差しを浴びて元気に育っています。
蚕舎を清め、道具を整え、桑も待っている。迎える準備は、着々と進んでいます。
静かな、始まりの前
蚕がやってくれば、毎日が桑やりと世話に追われる、慌ただしい日々が始まります。だからこそ、この蚕がいない静かな時間に、しっかりと下ごしらえをしておく。
あと10日。きれいになった蚕舎で、小さな蚕たちを迎えるのが楽しみです。今年の初秋も、いい繭ができますように——そんな願いを込めて、今日も一枚いちまい、毛羽を取りました。
ZEROSPHERE / ゼロの番人