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相撲 / Sumo
2026.07.24 — 相撲

相撲といえば、ちゃんこ ― 片男波部屋直伝の一杯

相撲といえば、ちゃんこ

相撲といえば——やっぱり、ちゃんこ鍋です。

乙亥大相撲でも、会場のすぐ横で、ちゃんこが作られています。土俵の熱戦を見たあと、湯気の立つ一杯をすする。冷える11月の野村で、この温かさは格別です。各家の宴とはまた別の、会場ならではの味。これも、乙亥を支える大切な一品です。

前の晩から、鍋を見張る

このちゃんこ、作るのは簡単ではありません。

乙亥は二日間あります。だから昔は、前の晩から「見張り役」がいて、ちゃんこ鍋を見守っていました。写真に残る昔の光景を見てください。テントの下、いくつもの大鍋から白い湯気が立ちのぼり、その周りを男たちが囲んでいます。

そう、昔は男の料理人が中心でした。大きな鍋を、薪の火にかけ、汗をかきながらかき混ぜる。屋外で、何百人分もの鍋を炊く。これは立派な力仕事だったのです。

男から、女へ ― 受け継がれた鍋

時は流れ、今では——女性が中心となって、ちゃんこを作っています。

オレンジの前掛けに、そろいの手ぬぐい。てきぱきと具材を切り、鍋をよそい、お客さんに手渡していく。作り手は変わっても、「会場のちゃんこ」という文化はしっかり受け継がれている。むしろ、賑やかで明るい活気は、今のほうが増しているかもしれません。時代とともに、支える人の顔ぶれは変わる。でも、味と心は続いていく。いい引き継ぎだと思います。

しお、みそ ― そして、片男波部屋直伝

現在のちゃんこは、「しおちゃんこ」と「みそちゃんこ」の二種類。一杯500円で味わえます。

そして——ここが、この記事でいちばんお伝えしたいこと。この味付け、実は片男波(かたおなみ)部屋直伝なのです。

片男波親方は、野村町出身の元関脇・玉春日。このまちが生んだ力士が、角界で腕を磨き、名門部屋の親方となりました。その片男波部屋のちゃんこの味が、ご縁を通じて、故郷・野村の乙亥で振る舞われている。看板に躍る「片男波部屋力士直伝」の文字は、地元とのつながりの証であり、まちの誇りそのものです。

野村の人が作る、けれど味は本物の相撲部屋仕込み。地元出身の力士と、故郷が、鍋の中でつながっている——そう思うと、この一杯が、いっそう味わい深く感じられます。

昼前には、行列。そして完売必至

言っておかなければなりません。このちゃんこ、とにかく大人気です。

昼前から行列ができ、毎年"完売必至"。「あとで食べよう」と思っていると、売り切れて涙を呑むことになります。狙っているなら、早めの時間が鉄則です。

そして、通の食べ方を一つ。乙亥は二日間。初日は「みそちゃんこ」、二日目は「しおちゃんこ」——両日通って、二つの味を食べ比べるのが、いちばん贅沢な楽しみ方です。みその力強いコクと、しおの澄んだ旨み。同じ部屋直伝でも、表情はまるで違います。

湯気の向こうに

土俵の上の力士、それを支える裏方、宴を営む家々。そして、湯気の立つ鍋の前に立つ人たち。

乙亥には、本当にたくさんの「支える人」がいます。ちゃんこ鍋の白い湯気は、そのあたたかさを、そのまま形にしたようなものかもしれません。乙亥に来たら、ぜひ一杯。片男波部屋直伝の味を、確かめてみてください。

ZEROSPHERE / ゼロの番人

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