亡き人を偲んで、踊る ― 惣川地区の盆踊り
8月15日で、固定
蔵良、上野、横林、野村地区——と続いてきた納涼祭。今回は少し趣の違う、惣川(そうがわ)地区の盆踊りです。
惣川の盆踊りは、8月15日で固定されています。曜日に関係なく、毎年この日。お盆の中日という、いちばん大切な日に行われます。
今年はその8月15日が土曜日だったこともあってか——山あいの地区に、大勢の姿がありました。聞くところによると、250名ほどの地区に、200名以上の参加。地元の方も驚いていたほどです。
亡き人を、偲んで踊る

そして、ここが惣川の盆踊りの、いちばん大切なところ。
この一年で亡くなられた方のご冥福を祈り、供養するために踊る——それが、この盆踊りの本来の姿なのです。
亡くなられた方のお名前が読み上げられます。 そのあと、みんなで櫓の周りに集まって、踊り始める。
……盆踊りの原点を見た、と思いました。
もともと盆踊りは、お盆に帰ってくる先祖の霊を迎え、慰め、送り出すための行事でした。今では"夏祭りの余興"のようになっている地域も多い中で、惣川はその本来の意味を、今も守り続けている。この風習を続けていることは、本当にすごいことだと思います。
櫓の上の、太鼓
会場に着くと、まず目に飛び込んでくるのが——紅白幕の櫓です。
その上には、大きな太鼓。周りには、七夕飾りをつけた青竹が高く立ち、色とりどりの短冊が風に揺れています。頭上には提灯の灯り。夕暮れの山あいの空を背に、その光景はどこか懐かしく、そして厳かでした。
日が落ちるころ、櫓の上の太鼓が鳴り始めます。盆踊りの曲に合わせて打ち鳴らされる太鼓。その音を中心に、人々が輪になって踊り出す。団扇を手に、ゆったりと手を返しながら、櫓のまわりを巡っていく。
小さな子どもから、お年寄りまで。世代を超えて、同じ輪の中に。
山あいの地区が、賑わう
出店も充実していました。
新たな名物になったかすうどん、横林のたこ焼き、ころころ石のソーセージ——地区を越えて出店が集まり、静かな山あいの地区が、この日ばかりは大変な賑わいを見せました。
続けることの、重み
人口250名ほどの地区。決して大きくはありません。それでも——200名以上が集まり、亡き人の名を呼び、踊る。
きっと、この地区を離れた人も、この日は帰ってくるのでしょう。故郷で亡くなった方を、みんなで送る。そのために、8月15日という日を動かさずに守り続けている。
盆踊りとは、こういうものだった。 惣川の夜は、それを静かに思い出させてくれました。
ZEROSPHERE / ゼロの番人